新幹線に設置されている「多目的室」は、体調がすぐれないときや、赤ちゃんの授乳、車いすの利用者が休憩する場として使える特別な個室です。
しかし、誰でも自由に使えるわけではなく、予約方法や利用の条件には一定のルールがあります。
新幹線の多目的室とは?

新幹線の多目的室は、さまざまな事情を抱えた乗客のために設けられているスペースです。
まずはその基本情報や設置場所についてみていきましょう。
多目的室の基本情報と設置場所
多目的室は、主に長距離を走る東海道・山陽・東北新幹線などの一部車両に設置されています。
車両の端に設けられ、外から施錠もできるため、静かに休憩したいときにも安心です。
誰でも自由に使えるわけではありませんが、必要とされる場面で活躍する個室として、多くの乗客にとって頼れる存在といえます。
利用できる人と使えない人の条件
多目的室を利用できるのは、体調不良者や障がいを持つ方、授乳を希望する保護者など、特別な配慮が必要な場合に限られています。
ただし、予約が空いていれば、状況によって一般の方でも利用できる場合もあります。
無断での利用や目的に合わない使用は制限されており、乗務員の判断によって利用の可否が決まる点に注意が必要です。
多目的室の料金とサービス内容
多目的室そのものの利用に追加料金はかかりません。
通常の指定席や自由席の乗車券で、必要な方が予約すれば無料で利用できます。
なお、毛布や簡易ベッドなどの貸し出しサービスがある場合もありますが、内容は新幹線の路線や車両によって異なります。
あらかじめ確認することが大切です。
新幹線の多目的室を予約する方法
多目的室は座席と同様に事前予約が可能です。
ここからは、具体的な予約の流れや注意点を詳しくみていきます。
ネット予約の手順と注意点
インターネットからは、多目的室の予約自体はできないことがほとんどです。
通常の座席は予約できますが、多目的室の利用を希望する場合は、ネット予約後に駅窓口で申し出るか、直接電話での予約が必要です。
また、予約完了までには時間がかかることもあるため、できるだけ余裕をもって準備することが大切です。
電話での予約方法と実体験
電話予約では、JR各社の窓口に連絡し、事情を説明することで多目的室の利用が相談できます。
筆者の実体験では、赤ちゃん連れの長距離移動時にJRのコールセンターへ連絡し、授乳のために多目的室を予約しました。
予約はスムーズでしたが、利用目的や時間の制限があることも丁寧に説明され、安心して当日を迎えられました。
当日の利用とキャンセルについて
当日は、乗車前に駅の改札や車掌に申し出ることで、多目的室の鍵を開けてもらえます。
キャンセルしたい場合は、事前に連絡すれば問題ありませんが、無断キャンセルや無連絡の利用はマナー違反とされます。
また、他の利用者の予約と重なっていることもあるため、状況によっては希望どおり使えない場合もあります。
多目的室のスペースと設備

多目的室には、利用者のさまざまな状況に応じた配慮が施されています。
ここでは、設備面からその工夫や使いやすさをみていきます。
車いす利用者向けの設備
多目的室は、車いすに乗ったまま入室できる広さが確保されていることが多く、ドアも自動や手動で開けやすい設計です。
中には、車いすからの移乗を補助する手すりが設けられている場合もあります。
また、近くに広めの多目的トイレが設置されていることが多く、車いすユーザーがスムーズに移動できるような配置が工夫されています。
赤ちゃんと授乳のためのスペース
多目的室は、授乳やおむつ替えなど、赤ちゃんを連れた保護者が安心して使える個室でもあります。
静かな環境が保たれており、カーテンや施錠機能によってプライバシーも守られます。
授乳時にリラックスして過ごせるよう、簡易ベッドや座席のリクライニング機能がある場合もあります。
ただし、設備の内容は車両によって異なる点に注意が必要です。
身体不自由者への対応設備
身体に不自由を感じる方が安全に過ごせるよう、多目的室には手すりや段差のない床面が整備されています。
中には、体を支えるためのクッションや、乗務員に連絡できる呼び出しボタンが設置されている車両もあります。
こうした設備により、体力に不安がある方でも安心して長時間の移動を続けられる環境が整っています。
多目的室を利用する上での注意点
多目的室は便利な空間ですが、限られた設備であるため配慮も必要です。
予約時や利用時に知っておきたい注意点を整理しておきます。
予約時のポイント
多目的室の利用を希望する場合は、できるだけ早めの予約が基本です。
設置されている車両が限られているため、希望の列車に必ずしも多目的室があるとは限りません。
また、予約には利用目的を明確に伝える必要があり、乗車駅と下車駅、希望時間などを事前に整理しておくと手続きがスムーズです。
利用時に気をつけること
多目的室は本来、特別な事情を持つ方のためのスペースです。
利用中は大声を出したり、長時間占有したりしないよう配慮が求められます。
また、鍵の管理は乗務員が行うため、途中での出入りや使用時間についてはあらかじめ確認しておくと安心です。
使い終わった際には清潔に保つ心がけも大切です。
交通機関が提供するサポート
JRなどの交通機関では、多目的室の利用者に向けたサポート体制が整っています。
たとえば、駅係員による乗降の補助、車いす利用者への段差解消のためのスロープ提供などが代表例です。
こうしたサポートを受けるには事前連絡が必要な場合が多く、予約時に併せて申し出ることが大切です。
多目的室の利用時の実際の流れ

初めて多目的室を使う場合、流れがわからず不安に感じることもあります。
ここでは利用当日の一連の流れを、わかりやすく整理してみていきましょう。
駅への到着から乗車までの流れ
出発駅では、改札口で多目的室の予約があることを駅係員に伝えるのが第一歩です。
その後、乗車ホームまで案内され、車両の位置やドアの開閉など、必要に応じてサポートを受けることができます。
特に車いす利用者や荷物の多い方は、出発時間の30分前には駅に到着しておくと安心です。
多目的室内での過ごし方
多目的室内では、体調を整えたり、授乳を行ったり、静かに休憩したりと、必要に応じた使い方ができます。
プライバシーが確保されているため、まわりの乗客に気を使うことなく過ごせますが、長時間の使用は避け、他の利用者がいる可能性も考慮して適切に利用することが求められます。
下車時の注意点
目的地に到着する際は、早めに乗務員に声をかけるようにしましょう。
車いす利用者や荷物が多い方の場合、ホーム上での補助が必要になることがあるためです。
また、多目的室を使用した旨を駅係員に伝え、必要があれば出口までのサポートを受けると安心です。
下車後は忘れ物がないかも必ず確認しましょう。
まとめ
新幹線の多目的室は、体調不良者や育児中の方、身体が不自由な方などが快適に移動するための大切な空間であることをお伝えしました。
今後利用する際は、予約手続きや設備内容をしっかり確認し、マナーを守って適切に活用していくことが望まれます。