DHLを名乗る「DHLの出荷が承認待ち」や「配達時にご不在ですか?」といったメールが届いて、不安になった方も多いのではないでしょうか。
これらのメールは一見、本物の配送通知のように見えますが、実は巧妙に作られたフィッシング詐欺の一種です。
リンクをクリックすると、偽サイトに誘導されて個人情報やクレジットカード番号を入力させられる危険があります。
この記事では、DHL On Demand Deliveryという本来のサービスと詐欺メールの違い、そして見破るための具体的なポイントについてわかりやすく解説していきます。
DHL On Demand Deliveryとは?詐欺メールに使われる理由

DHL On Demand Deliveryは、利用者に便利な再配達手配サービスですが、この名称が悪用されています。
DHLの正式サービスと詐欺メールの違い
DHL On Demand Delivery(ODD)は、受取人が配送方法や時間を柔軟に指定できる、DHLの正規サービスです。
一方、詐欺メールではこの名称を騙り、本物そっくりの文面で偽サイトへ誘導します。
正式なDHLメールには「dhl.com」などの公式ドメインが含まれ、暗号化通信が確保されたページが使用されています。
一方で、詐欺メールは.cnや.topなど不審なドメインを使い、個人情報の入力を求める偽フォームに誘導します。
メールの送信元やリンク先を確認することで、真偽を見分ける手がかりになります。
なぜ「配達時にご不在ですか?」が使われるのか
「配達時にご不在ですか?」というフレーズは、多くの人が経験したことのあるシチュエーションのため、受信者の警戒心を下げる効果があります。
この文言を使うことで、思わずリンクをクリックしてしまう心理的な誘導が仕掛けられているのです。
また、配送トラブルは緊急性を伴うため、受信者が冷静な判断を失いやすくなります。
詐欺グループはこのような心理トリガーを利用し、詐欺サイトへスムーズに誘導する戦略をとっています。
詐欺メールの特徴とよくある件名一覧
見慣れた配送通知のような件名と不自然な本文構成に注目することで、詐欺メールかどうかを判断できます。
件名例:「緊急 DHLの出荷が承認待ち」など
詐欺メールによく使われる件名には「緊急」「承認待ち」「再配達」など、焦らせるような表現が多用されています。
例えば「緊急 DHLの出荷が承認待ち」や「DHLよりお荷物が配送されます」といった件名は、実際の配送連絡と非常に似ているため、受信者が疑いを持ちにくくなっています。
さらに、こうしたメールは迷惑メールフィルタをすり抜けるよう工夫されており、業務用メールアドレスにも届くことがあります。
本文の共通パターンと偽サイトの誘導手口
詐欺メールの本文には、配達先の住所や電話番号に誤りがあると伝え、リンク先で情報を補完するよう促すパターンが多く見られます。
文中には「配送情報をご補充ください」や「非対面配達の選択が可能です」といった文言が並び、一見すると丁寧な通知に見えますが、リンクをクリックすると偽のDHLログイン画面に誘導されます。
このような手口ではSSL証明書がないか、ドメインが不自然である点が特徴です。
特にURLの先頭や末尾に注意することが重要です。
フィッシング詐欺サイトのURL例と危険なドメイン

不審なURLや特定のドメイン名は、詐欺の強いサインです。
クリック前にリンクの安全性を確認しましょう。
.cnや.topなど怪しいドメインの傾向
詐欺メールのリンク先には、「.cn」「.top」「.xyz」といった、正規企業では使われにくいドメインが使用されることが多くあります。
これらは取得費用が安く、匿名性が高いため、フィッシング詐欺やマルウェア拡散に悪用される傾向があります。
送信者がDHLを装っていても、URLにこれらのドメインが含まれていれば、信頼性は極めて低いと判断できます。
常にブラウザのアドレスバーを確認し、正規のドメイン「dhl.com」以外は避けることが安全です。
クリックしてはいけないリンクの例
実際に確認された詐欺メールのリンク先には、「https://jy0775.com」「https://dhl-faceward.mnowr.cn」「https://dhl-because.kuflqpk.cn/portal_login_exp/getQuoteTab/」など、見慣れない文字列やDHLらしくないドメイン名が含まれています。
これらのURLは一見正規に見えるよう加工されていることもあり、特にスマートフォンでは全体が見えにくいため注意が必要です。
また、リンクをクリックすると、偽ログイン画面や再配達手続きのフォームが表示され、入力した情報がそのまま盗まれてしまいます。
疑わしいリンクは絶対に開かないことが原則です。
送信者アドレスの特徴と見分け方
送信元のメールアドレスは、詐欺メールかどうかを見分ける重要な判断材料です。
DHLを騙る偽装アドレス一覧
詐欺メールの送信者アドレスは、「info-psjigxu@service.yoqc.cn」や「[NoReply.ODD_dhl.com@d97ac19c28794e88.com」「mail-gpcvym@service.gfreg.cn」など、DHLらしく見せかけたものが多くあります。
しかし、ドメイン部分に「dhl.com」が含まれていなければ、公式なメールではないと考えて差し支えありません。
また、アルファベットの羅列や意味のない文字列が含まれている点も、見分ける際の大きなヒントです。
見慣れないアドレスから届いた場合は、開封せず削除が賢明です。
本物のDHL公式アドレスの確認方法
DHLの正規メールアドレスには、「@dhl.com」や「@dpdhl.com」など、公式ドメインが使用されています。
また、メールにはDHLの正式なロゴや問い合わせ先情報が明記されていることが多く、不自然な日本語や不自然な改行はありません。
もし疑わしいメールが届いた場合は、DHLの公式カスタマーサービスページ(https://www.dhl.com/jp-ja/home/customer-service.html)を確認し、そこから問い合わせるのが最も確実です。
自分で検索したURLからアクセスするのではなく、ブックマークや公式アプリを利用する習慣も安全性を高めます。
本物のDHLサイトとの違いと確認手順

本物のDHLサイトと偽サイトは一見似ていますが、URLやデザイン、表記に微妙な違いがあります。
正規のDHLログインURLを確認する方法
DHLの正規ログインページのURLは「https://www.dhl.com/jp-ja/home/customer-service.html」から始まります。
SSL証明書が適切に設定されており、URLバーに鍵マークが表示されるのも特徴です。
一方、偽サイトでは「https」ではなく「http」だったり、似せたURLが使われる場合があります。
見慣れないURLや、文字列が長く不自然なものには注意しましょう。
常に公式サイトやアプリ経由でアクセスするのが最も安全です。
本物かどうか見極めるチェックリスト
本物のDHLサイトかどうか判断するには、いくつかのチェックポイントがあります。
まず、URLが「dhl.com」ドメインであること、そしてブラウザにSSLの鍵マークが表示されていること。
次に、ページ内の言葉遣いに不自然な日本語がないか確認します。
また、個人情報の入力を急かす表現があるサイトは偽の可能性が高いです。
判断に迷った場合は公式カスタマーサポートへ確認することが大切です。
なぜ迷惑メールが届くのか?原因と対策
迷惑メールが届く背景には、メールアドレスの漏洩や予測されやすいIDの使用が関係しています。
メールアドレスが漏洩する主な原因
メールアドレスが漏洩する理由にはさまざまありますが、主な原因は「登録フォームの使い回し」や「第三者サイトへの投稿」です。
例えば、不正な通販サイトや懸賞応募で入力した情報がそのまま外部に流出するケースがあります。
また、スパム業者は辞書攻撃や総当たりでアドレスを生成し、存在するかを調べています。
信頼できないサイトではメールアドレスの入力を避けるのが基本です。
SNSや登録フォームで注意すべき点
SNSやブログなどの公開プロフィールにメールアドレスを記載すると、自動収集プログラムに拾われやすくなります。
また、フォームに入力したアドレスが暗号化されていない場合も危険です。
入力前にはサイトのプライバシーポリシーやSSLの有無を確認する習慣を持ちましょう。
特に無料プレゼントやメルマガ登録を装った偽フォームは、アドレス収集が目的であることも少なくありません。
迷惑メールの対処法とブロック設定のコツ
届いてしまった迷惑メールは、適切な方法で処理すれば被害を未然に防げます。
自動振り分け・ブロックの設定例
GmailやOutlookなどの主要メールサービスでは、フィルタ機能を使って件名や送信元をもとに迷惑メールを自動振り分けできます。
例えば「DHL」「承認待ち」といったキーワードを条件に設定することで、詐欺メールを受信トレイから隔離できます。
ただし、類似する正規メールも誤ってブロックするリスクがあるため、設定後はしばらくフィルタの動作確認を行うのがよいでしょう。
安全なメール運用のためのポイント
安全なメール利用には、迷惑メールへの対処だけでなく、日常的なメール管理の見直しも重要です。
まず、重要な連絡先はホワイトリストに登録しておくと、誤って迷惑メール扱いになるのを防げます。
また、不審なメールを開封したり、本文内のURLをクリックしたりしないことが大前提です。
さらに、使っていないメールアドレスを定期的に整理することも、セキュリティ向上につながります。
被害に遭わないために知っておくべきこと
詐欺メールの脅威は誰にでも起こり得ます。
日頃からの意識と準備が鍵です。
個人情報の保護と入力前のチェック方法
個人情報を入力する前に確認すべきポイントは、「正規サイトかどうか」「SSL通信が有効か」「不要な情報を求められていないか」の3つです。
たとえば、DHLからのメールに見せかけたリンク先で、クレジットカード情報やマイナンバーの入力を求められる場合は疑ってかかるべきです。
正しい情報であっても、入力前に冷静になってURLを再確認する癖をつけましょう。
業務メールでの注意点と企業向け対策
企業での被害を防ぐには、従業員へのセキュリティ教育とメール運用ルールの整備が欠かせません。
業務用メールでは、フィッシング対策ソフトの導入や、疑わしいメールの共有・報告フローを整えることが重要です。
また、複数人がアクセスするアカウントでは、定期的なパスワード変更も有効です。
特に物流や金融など、取引メールが多い業種は常に警戒を怠らないことが求められます。
まとめ
DHLを名乗る詐欺メールは、見た目が本物そっくりで、だまされやすい手口が巧妙に仕込まれています。
しかし、URLの確認や送信者のアドレスチェック、本文の違和感を察知するだけで、十分に被害は防げます。
大切なのは、少しでも不審に思ったらクリックせず、公式サイトやサポート窓口で真偽を確認するという習慣です。
今後もメール利用を続ける中で、自分の情報は自分で守る意識を忘れずに持ちましょう。